私たちの業界は完全なる受注型ビジネスです。クライアント様の存在がなければ会社は生き残れません。その受注をいただく第一ステップとなるのがプレゼンテーションです。当然、新規クライアント様の場合は、一社独占はほとんどなく数社の競合プレゼンとなります。当社もこのプレゼンテーション成約からのお付き合いで、会社をなんとか存続させてきました。
ここで重要なのは、プレゼン前の調査・分析・企画立案・広告展開案等の事前準備になりますが、本番で思う通りのプレゼンテーションが出来ないと、内容は良くても「あの業者の説明していることが伝わらなかった」と、選考から落とされてしまう場合もあります。
プレゼンテーターがやってはいけない一番NGなこと。
「企画書をページ通りに順番に読み上げること」だと思います。
プレゼンテーションは相手ありきの場面です。特にキーマンと言われる決裁権限者と、直接的な担当者の方の反応を見ながら進行していくことは必須です。
当社は長年の経験から、企画書をダブルクリップで止めるようにしました。
この理由は単純です。プレゼン本番時に私はご担当者の表情や仕草を確認しながら進めます。市場動向や顧客属性などの序盤などの説明で、クライアント様の方が圧倒的に知識がある「釈迦に説法」のような反応を確認すると思いっきり飛ばします。逆に、思いがけず興味を持っていただける反応の資料は、企画書に記載していない付加情報を交えながら時間をかけて説明をします。実はこの序盤ですでに、本題になるコンセプト案の順番も変わるのです。A案がD案に格下げになり、C案を浮上させるなど順序を守らずに説明をします。そこで、ダブルクリップを外して順番を変えていただいたり、序盤の興味を持っていただいた情報と並べていただいたりと、その場でクライアント様が自由に順番を変えていただけるようにします。
ホチキスや製本をしてしまうと「この順番通りに話さないといけない」という心理が働き、逆効果になりかねません。
最近ではペーパーレス化の推進で、プロジェクターにてプレゼンをするケースも増えてきました。その場合も、パワポなどのアニメーション機能を使わずに、臨機応変に変えれるプレゼンデータデータを作成して当日に臨みます。
と、偉そうに言っても、いつまで経っても慣れないのがプレゼン本番です。実際、今でも声の震えが止まりません。ですが、採用された時の喜びをみんなで分かち合える時の一杯は、いつまで経っても最高なひと時です。(記事:西本純一)